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CD「ラフマニノフ 組曲」リリースにあたって
中井恒仁&武田美和子


デュオのCD第2弾は、
ラフマニノフを入れたいと思いました。
組曲第2番は、私達がデュオを始めて真っ先に取り組んだ作品です。
始めて本気でデュオを人前で弾いたのが、パリでのコンクール予備予選。
その時に演奏したのがモーツァルトのソナタとこの組曲でした。
それ以来、何度も演奏する機会がありました。
結婚直後のアメリカでのリサイタルでも、日本、ヨーロッパ間と逆になる
時差と戦いながら演奏したことも思い出します。

今回の録音では、わがままを言って、ニューヨーク製スタインウエイを2台揃えてもらいました。
日本にあるスタイウンウエイは、ほとんどがハンブルク製ですが、
今回は曲目を考えて、ニューヨーク製で録ってみたかったのです。
細く繊細な高音と、中低音に爆発的なエネルギーを秘めているような気がします。
時間と共にこんな響きも出るのかと新しい発見があるので、
もっともっと何度も何度も弾いていたいけれど、
時間と私達の体力のことも考えつつ録音が進行してゆきました。
所は秩父のミューズパークのホールです。スタジオでなく、
せっかくのホールでの収録なので、いつもながらですが余計な音処理はせず、
自然な残響のままの録音です。
2台ピアノはふたつの楽器の置き場所が当然ながら少し違うので、
メインマイクのセッティングは本当にシビア。CDは、私達演奏者はもちろんですが、
楽器、ホール、調律師、録音エンジニア、全ての状態が音に現れます。
恵まれたスタッフの中で演奏できるのは幸せなことです。

曲目について
CDのタイトルにもなった「ラフマニノフ 組曲」は、ピアノデュオの中でも屈指の傑作。
2つの組曲がありますが、どちらもピアニスティックで、ロマンティックで、
それでいて絶対的なパワーを要する大曲です。

組曲第1番
詩からインスピレーションを得た、
若きラフマニノフのセンチメンタルな感性が自由に羽ばたき、
切なく熱く語りかけるようです。

組曲第2番
ラフマニノフは一時期メンタル面の理由から作曲活動を5年程休止しますが、その復帰直後の作品。
ピアノ協奏曲第2番作品18と並ぶ、これぞラフマニノフという感じの、ヴィルトゥオーゾ性と、復帰した活力に溢れ、
それでいて詩的なロマン情緒もちりばめられた組曲です。

ロドリゲス:バッハナーレは、このCDが世界初録音です!
作曲年は1999年。私達のデュオ結成年と同じ年に作られました。
タイトルのBachanaleは、酒の神の宴Bacchanale(cを付け足した)と
作曲家Bachとをかけ合わせた「しゃれ」です。Bachの音楽が根底に流れています。

1曲目のDie Brücke über dem Bach (The Bridge over the Brook) 小川の上の橋は、
バッハの音楽の上にかけられたモダンな「音楽の橋」。
Bachはドイツ語で「小川」の意味なので、「小川の上の橋」と「バッハ(作曲家)の上の橋」と
両方の意味を含んだ言葉遊びでもあります。
J.S.Bachのチェロ組曲 ト長調 BWV1007のプレリュードが聴こえてきます。
2曲目Ecco l’Eco (There’s an Echo)は静かで叙情的で星の多い夏の夜空を思い起こさせます。
ふたりでエコーのように美しい響きの掛け合いが続きます。
3曲目のSamba da Gambaサンバ・ダ・ガンバは、J.S.バッハの他の弦楽器の作品
「ヴィオラ・ダ・ガンバとハープシコードのためのソナタ ト長調 BWV1027」を基に発展していきます。
バッハのソナタはソナタは、アフロ・カリビアン・ダンスに形を変え、ビッグバンド風なノリノリなサンバです。

このサンバに続いて、タンゴ、ルンバ、ポルカ、ワルツとさまざまなダンスの曲を入れました。
それぞれのカラー、リズムのノリを楽しんでください。

繊細な詩情、2台ピアノのダイナミックさ、音楽の楽しさ・・・、など伝わるといいなと思います。
是非聴いてください!