音楽雑誌「ショパン」への連載
中井恒仁&武田美和子の「2台ピアノを弾こう!」2台ピアノ誌上レクチャー
第3回 ラヴェル
ラ・ヴァルス
難易度 ★★★
2台ピアノの魅力のひとつにオーケストラ作品をふたりで演奏する楽しみもあります。2台のピアノを組み合わせてのオーケストラの壮大な響き、また、それぞれの楽器のパートを担いながら、その多彩な響きのイメージのうえに、ピアノならではの色や動きも表現できると素敵な作品として息づくのではと考えます。
作曲家本人によってオーケストラの曲から2台ピアノへのアレンジがされている作品は少なくありません。この「ラ・ヴァルス」も、ラヴェル自身が2台ピアノ版にしたもので、大変人気のある曲のひとつとなっていますね。
「渦巻く雲の切れ目からワルツを踊っている様子が垣間見える」
とラヴェルが楽譜に記しているように、出だしは、幻想的なもやの中ように、低音のトレモロをできる限りやわらかくpppで、高音のトレモロや細かいパッセージは雲の動きでしょうか。ワルツのリズムの刻みが遠くで聞こえるように弾きたいところです。ラヴェルの言葉はこう続きます。「・・・雲は次第に晴れ、くるくると旋回する人々でいっぱいな大広間が見えてくる。舞台は次第に明るくなる。シャンデリアの光はフォルテッシモで響き渡る。」幻想的でデリケート、熱狂的で大胆、対峙する表現の両面を求めたいところです。
今月のテクニック
3拍子のスイング
ピアノはどうしても鍵盤を下ろして音を出すので、上向きの音を出すのが難しい楽器ですが、1拍目で踏み込んでその弾みを使って、2、3拍目の軽い拍を上向きにうまく回転運動できればワルツの3拍子の感じがうまく出せると思います。(2、3拍目で新たなエネルギーで押しこまないようにしましょう。)3拍目から1拍目へのコンタクトや用意も大切にすると裏拍の空間が生まれやすいと思います。ワルツを踊っている女性のスカートのすそがターンをして舞うように。
3拍子のスイング
ピアノはどうしても鍵盤を下ろして音を出すので、上向きの音を出すのが難しい楽器ですが、1拍目で踏み込んでその弾みを使って、2、3拍目の軽い拍を上向きにうまく回転運動できればワルツの3拍子の感じがうまく出せると思います。(2、3拍目で新たなエネルギーで押しこまないようにしましょう。)3拍目から1拍目へのコンタクトや用意も大切にすると裏拍の空間が生まれやすいと思います。ワルツを踊っている女性のスカートのすそがターンをして舞うように。
この曲のCD情報
アルゲリッチ&ラビノヴィチ、 ラレード&ルヴィエ、ルガンスキー&ルデンコ、ペキネル姉妹など。
関連曲
作曲家自身による管弦楽曲の2台ピアノ版。ラヴェル:「ボレロ」、デュカス:「魔法使いの弟子」、シャブリエ:「スペイン」、ホルスト:「惑星」(こちらは2台ピアノ版の方が先にできました)